私自身、昔からガーデニングは趣味みたいな感覚で考えていました。とりわけ、20代の若い頃には毎日家に帰ると夢中になって庭いじりをしていました。あまりに没頭するものですから、母親が心配するほどでした。元々、父親が大々的にガーデニングしていたものを、息子の私が譲り受けたような感じです。その父親も3年ほど前に病気で他界してしまいました。「尊敬する父親が亡くなったことは寂しいことだけど、譲り受けた庭を自由にガーデニングすることができる」と喜びました。
しかしながら、時を同じくして私の所属する部署の仕事が急に忙しくなることに。いわゆるブラック企業ではありませんが、連日の残業に追われてガーデニングをする余力をなくす日々が続きました。夏は容赦なく照りつける炎天下での作業であり、冬場は凍えるような寒さのもとで行うのがガーデニングです。40歳も過ぎた体にはハードすぎるといえるのではないでしょうか。ある時から私は、ガーデニングに対する考え方を一から見直し、忙しい仕事との両立が図れるように変えていきました。
まず取り掛かったのは、ゾーニングです。それまでは、なんとなく大雑把になってしまっていたものをゼロベースで見直します。「歩くゾーン」や「駐車ゾーン」、「植物を植えるゾーン」などときっちりと分けることで、たちまちスッキリ。私が「ガーデニングの師匠」として、あれこれとアドバイスをもらう親戚の叔父からの進言で、草目地もやめました。また、管理がしやすいように、鉢植えを積極的にするようになったのも大きな変化です。できれば、未来永劫に管理が楽な庭にしたいという気持ちからです。庭木として育てる樹木の種類に関しても、十分に配慮しました。実は昔、良く考えもせずにコニファーを植えた結果、みるみるうちに成長してしまい管理が行き届かなくなるという苦い経験があります。アオダモとソヨゴを中心にしたのも、過去の失敗を繰り返さないためです。